オノマトペ・モンスター

2021年07月17日

 現在開催中の「さくたろういきものずかん」展に関連して、「わくわくいきものカーニバル」第1回目を開催いたしました。たくさんのこどもたちが、読み聞かせユニットのドロップスの皆さんのお話に熱心に聞き入ったり、萩原朔美館長扮する「青猫さん」が出題したオノマトペクイズ(鳴き声のオノマトペをヒントに動物を当てるもの)に、全身を使って参加してくれました。ドロップスさんの読み聞かせやお芝居は自然体でありながら表現豊かで、見ているだけで笑顔がこぼれる素敵な空間でした。

  

出演者のみなさんのこだわりのアニマル衣装がかわいかったです!

 

 クイズを受けて、実際に朔太郎の詩を朗読する場面もあり、犬の鳴き声のオノマトペである「のをあある とをあある やわあ」や、猫の「おわああ」「おぎやあ」、蛙の「ぎよ、ぎよ、ぎよ、ぎよ」といったその独特な表現を、こどもたちは興味深々に聞いてくれました。

 

 

 

 萩原朔太郎は動物たちの鳴き声を、型にはまらない個性的な表現を用いて表現していますが、それにはこういった考えがあったことがわかります。

 

(前略)

諸君の耳には鶏の鳴声が常にコケツコーと聞え、雀はチユーチユー、水車の音はガタコン・ガタコンと聞えるのだ。しかし諸君の耳に個性があるならば、事物の音は必しもさう聴えないだらう。もとよりかうした物音には一定の言語がないのだから、それを聴く人の主観によつてどんな発音にも取れるわけだ。しかるに諸君は自己の個性を忘れ、世間一般の言ひ慣はしによつて聴覚するから、それで鶏はいつでもコケツコーと鳴くやうに思はれるのだ。(私は鶏の朝鳴をトーテクー・トールモーときいた。私の詩「鶏」を参照せよ。)

(後略)

「日本詩人」第4巻第6号(大正13年6月号)発表の「新詩人号」の選評より抜粋

筑摩書房『萩原朔太郎全集』第14巻 収載

 

 詩評を多くこなし、詩雑誌の選者も務めていた朔太郎。同誌に寄せられた投稿詩の選評に際し、もっと個性を前面に表してほしい、詩に生気を宿してほしいと願う先輩としてのアドバイスと、しかし独創的であることの難しさにも理解を示しつつ、その一助として以上のことを語っています。

 やや奇抜にも思える独特なオノマトペ表現は、音に対し非常に鋭敏な感性を持っていた朔太郎だからこそ表出できた「個性」だったのでしょう。

 

 さて、ここで私からも皆様に問題です。以下のオノマトペの動物は、いったい何でしょう?

Q. てふ、てふ、てふ

 

 

 どうですか?わかりましたか?

クイズの答えは……文学館の展示会場で探してみてくださいね!

 

 なお、文学館では企画展とともに楽しめるクイズシートを用意しました。クイズの挑戦者の方には、1階でささやかなプレゼントを用意してあります。ご来館の際は、ぜひ展示を見ながらチャレンジしてみてくださいね。

 

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